その昔・・・ってか今では日テレ系、週末のスポーツニュース「Going」の解説者としてご存知の方も多いかもしれませんが、江川卓という投手がいまして。まぁ、今の若い人だと伝え聞いた話でしか知らないですかね?それも相当バイアスのかかった、江川を政治犯か何かのように仕立てたお話で。
入団にまつわるお話とか、彼の性格云々のお話は割愛させていただくとしまして、彼を揶揄する言葉の一つに「百球肩(100球肩)」と言うのがありまして。それは江川が先発して、投球数が100球を超えた辺りから球威が落ちて打たれることが多くなり、「江川の肩は100球程度でスタミナ切れを起こす」などといわれてつけられた仇名ですね。
この百球肩、元々江川が肩を痛めていたと言うのもあるのですが、そのせいだけで球威が落ちていたわけではないのです。自分が肩を痛めていることは敵にも味方にも秘密にしていて、それを悟られぬように江川は相手打者や場面によって投球の本気度といいますか、出力を制御して投っていたんです。
で、相手に「江川はやっぱり打てない」と言うイメージを植えつけるために9回は全力で投るんですが、それを際立たせるために7回8回といった辺りは一寸出力を抑え目に投っていたのです。つまり、100球を超えたところで疲れたとか痛かったとかではなく、9回の自分を凄いと思わせるために、手の込んだ芝居をしていた訳です。
勿論、それで打たれたら元も子もないんですが、痛めた肩を秘密にしながらプロ野球で存在感を保ち続けるためには、そうするしか無かったですし、「それで駄目なら仕方ない」という開き直りもあったんじゃないですかね?
兎に角、江川は痛めた肩をカバーするために、あえて百球肩などという汚名を着て、逆にそれを利用して存在感を保った訳です「100球超えたら江川は駄目だな・・・やっぱり打てないじゃん!」みたいな。ですから百球肩という仇名は、そういう江川の努力と苦労、そして頭脳にささげる最大の賛辞ではないでしょうか!?
さて、現代野球。投手の分業制が普及して久しく、必ずしも完投能力は求められなくなり、アメリカかぶれの野球ファンの中には向こうの作法にのっとって「先発は100球超えたら交代させろ」なんて声もあります。そもそも25人枠で投手を中4日で回すアメリカと、28人枠で投手は中6日で調整する日本じゃ条件が違うんですけどね。



もうちょっとだけ続くぞい
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